【徹底解説】木部・木材の外壁塗装の注意ポイント

2022年07月04日(月)

天然木には人工物にはない美しさやあたたかみがあります。
一方でそれを維持するのは容易なことではありません。
外壁や玄関扉などの建具に天然木を使われている場合は定期的なメンテナンスが必要となります。
しかも一般的な外壁塗装とは違った、特殊な塗料を使わなければなりません。

今回は天然木の注意点や外壁塗装などのメンテナンスのポイントについてご説明します。

建材に木材を使った木部外壁の特徴

天然木は生き物であり、金属やコンクリート、モルタルなどの一般的な人工外壁材と比較すると状態が変化しやすいです。
美しさを保つのが難しく、定期的なメンテナンスが必須となります。
まずは木材外壁や木部の特徴について見ていきましょう。

デリケートな天然素材ならではのデメリットが!

湿気、乾燥により塗装にヒビが入る

木は湿度の変化によって大きさが変わります。
湿気が多いと木が空気中の水分を吸収して膨張し、逆に乾燥していると水分が失われて収縮します。
一方で塗装によって形成される塗膜は水分によって大きさが変化しないため、素材である木が膨張や収縮することで塗装にヒビが入ってしまうのです。

木は水分の含有量によって10%程度大きさが変化するという研究事例もあるほどです。
見た目ではわからなくても、少し膨張あるいは収縮するだけでも塗料に悪影響を及ぼします。

また、木は放置しておくと反りなどの変形が生じ、これも塗装のヒビ割れにつながります。

室内であれば湿気が多いときには木がそれを吸い込んでくれて、乾燥しているときは木が水分を吐き出して適度な湿度を保ってくれる調湿機能が重宝します。
しかし、外壁や建具の場合はそれがマイナスに作用してしまうことがあるのです。

紫外線によるダメージ

紫外線も木にとっては大敵です。
特に外壁や建具は常に強烈な直射日光にさらされるため、その影響を大きく受けます。
木材は長期間紫外線にさらされると組織が変質して変色するという性質があります。
時間が経過することで色が薄くなってしまったり、逆に濃くなってしまったり、樹種によって反応はさまざまです。
また、半袖を着て腕や手だけが日焼けしてしまうのと同じように、木材も日光が当たっている部分とそうでない部分で色が分かれてしまうということもよくあります。

その色の変化を「経年変化」として楽しむという考え方もあるのですが、それはあくまで適切なメンテナンスをしているのが前提です。
ノーメンテナンスだと見た目がみすぼらしくなってしまう可能性もあります。

腐敗

木部や木材外壁は紫外線だけでなく雨や風、ホコリにもさらされることになります。
過酷な環境下で腐敗してしまうケースも少なくありません。
山を登ったときに腐ってボロボロになってしまった木を見かけることがあります。
適切なメンテナンスをせずに長期間放置しておくと表面が柔らかくなってしまったり、ボロボロと崩れたり、表面にヒビ割れが発生したりします。

また、シロアリも木の大敵です。
シロアリが巣を作って木を食べてしまうことで、やはりボロボロの状態になってしまいます。

塗装が長持ちしにくい

木材は非常に塗装が難しい材質です。
金属やコンクリート、モルタルなどの人工素材なら10年くらいもつ塗料でも、木材だと3~5年くらいしかもちません。
木は塗料の乗りが悪いのに加え、前述のとおり膨張や収縮、反りなどの変形が生じやすいため、塗料のヒビ割れや剥がれが発生しやすいのです。

状態を保つにはメンテナンスが不可欠!

木材には人工物にはない魅力がありますが、外部の環境に影響を受けやすいのも天然素材ならではです。
最初は美しかった天然木も、何も手入れをしていなければ、変色や腐敗、塗装の劣化などでみすぼらしくなります。
特に外壁や建具は常に過酷な環境にさらされるため、油断しているとあっという間に劣化したり傷んでしまったりします。

一方で木は適切にメンテナンスすれば非常に長持ちする素材です。
何百年も前に建てられた木造の家屋や寺院、神社が現存しているのも、しっかりと手入れしているからです。
木は生き物なので、手をかければしっかりとそれに応えてくれます。
定期的な清掃や外壁塗装などのメンテナンスをしっかりと行いましょう。

木部・木材の外壁塗装の流れ

足場を組む

下地処理

下塗り作業

中塗り・上塗り作業

1 足場を組む

まずは作業員が作業をするための足場を、建物を取り囲むように組みます。
足場は足場板と鉄パイプで構成されています。
足場を組むことで、高所作業を安全に行うことが可能です。
また、塗料が付着しては困る箇所(エアコンの室外機や窓、車など)をビニールシートで覆う養生を同時に行います。

2 下地処理

塗料が付着しやすくなるよう、下地処理を行います。
外壁を洗浄して汚れやカビをしっかりと落とします。
ヒビ割れや損傷がある場合は、その箇所を補修します。
下地処理をしっかりとしておかないと塗料の乗りが悪くなってしまい、せっかく塗装をしたとしても、すぐに塗膜が剥がれたりヒビ割れたりしてしまいます。

3 下塗り作業

下地処理が終わったらいよいよ塗装作業に移ります。
まずは下塗りという工程です。
素材に木材専用の下塗り塗料を塗装することで、中塗り塗料や上塗り塗料がしっかりと付着するようになります。
普段私たちの目に触れない部分ですが、下塗り作業も塗装の質を左右する重要な工程なので、丁寧に作業を行っていきます。
塗装後はしっかりと乾燥させます。

4 中塗り・上塗り作業

下塗り塗料が乾燥したら一度仕上げ用の塗料を塗装します。
これを中塗りと言います。
さらに、その上にもう一度塗料を塗装します。これを上塗りと言います。
こうして塗装を2回、下塗りを含めると3回行うことで、塗装面が安定する、被膜が厚くなるなどのメリットがあります。
塗装作業が完了したら乾燥をさせ、しっかりと塗装できているか?不具合はないか?を確認した上で、足場や養生を撤去して完了となります。

木部・木材の外壁塗装に適した塗料の種類

木部・木材の塗料は大きく分けて「木目を活かすタイプ」と「木目を消すタイプ」という2つのタイプがあります。
それぞれにメリット・デメリットがありますので、見た目や耐久性など、さまざまなことに考慮して選ぶことが大切です。
以下で詳しく見ていきましょう。

仕上がり 特徴 おすすめの場所 塗料の性質 塗料の種類
木目をいかす
  • 外壁全体
  • 木目でアクセントをつけたいヶ所
  • 木の内部を保護できる
  • 剥がれにくい
  • ツヤが出にくい
  • 耐久性に劣る
  • 害虫被害をうけやすい
浸透タイプ
含浸タイプ
着色仕上げ
ステイン
木材保護着色料
木材保護塗料
浸透型塗料
木目を消す
  • 玄関ドア
  • ウッドデッキ
  • 窓枠
  • 戸袋など
  • 耐久性に優れている
  • 表面が剥がれたり割れたりする
造膜タイプ(造膜型塗料)
被膜タイプ(被膜型塗料)
ペンキ塗装

木目をいかす(素材に浸透する)タイプ

木材の色味や素材感を維持したいのであれば、素材に浸透するタイプの塗料がおすすめです。

一般的な外壁塗装の塗料は表面を塗膜でコーティングすることで、雨や紫外線をシャットアウトします。
素材に浸透するタイプの塗料は、外壁材の成分が木に染み込み、内部からしっかりと紫外線や湿気などのダメージを防ぎます。
剥がれにくいというのもメリットです。

一方で耐久性が低い、害虫被害を受けやすいという側面もあるため、定期的な点検や外壁塗装(3年に1回程度)が必要となります。

外壁全体に使えますが、特に見た目を重視してアクセントとして木材を取り入れた箇所(外壁や建具)におすすめです。

防虫、防藻効果のある塗料も必要

木材にシロアリなどの害虫やカビ、藻などが発生するとすぐに腐敗してしまいますので、長持ちさせるためにはいかにこれらを寄せ付けないかが鍵です。
浸透するタイプの塗料の中には防虫や防藻、防カビ効果を備えているものもあります。
これらの塗料を使うことで、木材を腐敗から守ることができます。

ただし、やはり防虫・防藻・防カビ機能がある浸透型塗料に関しても、一般的な塗膜を形成するタイプのものと比べると耐久性は劣る傾向にありますので、定期的な外壁塗装は必須です。

木目を消す(素材表面に塗膜を作る)タイプ

もう一つ挙げられるのは素材表面に被膜を作る塗料です。
これは金属やコンクリート、モルタルの外壁塗装にも使われる、主流となっているタイプです。
前述のとおり、塗膜で外壁材を覆うことで、雨や紫外線、カビや藻、害虫を防ぎます。

木材ならではの見た目の美しさや質感は軽減してしまいますが、耐久性が高い(10~15年ほど)がメリットです。
ただし、木材の膨張や収縮、変形することで塗料にヒビ割れや剥がれが生じることもあり、実際には長持ちしない場合もあります。

合成樹脂系塗料

合成樹脂系塗料とは石油などを原料とした塗料のことを指します。
これまで木材の塗装には油性調合ペイント、いわゆるペンキが使われてきましたが、乾燥までに時間がかかることと、剥がれやすいことがネックでした。

今では合成樹脂調合ペイントというものが主流となります。
比較的乾燥が早く、耐久性も高いです。
化学物質が含まれていないため安全で、外壁塗装だけでなく建物内部の塗装にも使われています。

人工素材に使われるウレタン樹脂塗料も木材の塗装によく使われます。
塗料自体の耐久性が高いことに加え、柔軟性があるため変形にもある程度対応できます。

玄関ドアやウッドデッキ、窓枠、戸袋など、ある程度木の見た目や質感が失われても問題ない箇所や、厳しい環境にさらされる場所、耐久性が求められる箇所におすすめです。

天然樹脂塗料

樹液や虫類の分泌物、具体的には琥珀やロジン、セラック、コーパール、ダンマルなどの天然樹脂を原料とした塗料です。
天然素材を使っているため、シックハウス症候群などが起こりにくく安全で、外壁だけでなく室内の塗装にも使われています。

ただし、あまり普及しておらず高価であることと、合成樹脂系塗料と比較して耐久性が低いことが難点です。

木部・木材の外壁塗装の注意点

下地処理は念入りに

先ほどもご説明した通り、外壁塗装には「下地処理」「下塗り」「中塗り・上塗り」という工程があります。
この中でも特に重要なのは下地処理です。
下地処理は外壁のホコリやカビ、苔、古い塗料といった汚れを落としてきれいにする、ヒビ割れや破損箇所を補修するといった、塗装の前段階の作業のことを指します。

たとえば、汚れがあると塗装のムラが生じたり、塗料の乗りが悪くなって耐久性が低くなってしまったりする可能性があります。
ヒビ割れや破損があるまま塗装してしまうと、やはり塗料のヒビ割れや剥がれにつながります。
また、補修しないとそこからさらにダメージが拡がっていくおそれが高いです。

たとえば洗顔を怠って肌が汚れていたり、健康管理やケアをしていなかったがために肌のコンディションが悪くなってしまっていたりした場合、イマイチ化粧の乗りが悪くなって顔が思ったように美しく見えない場合があります。
外壁塗装も同じです。
下地処理をしっかりと行うことで、はじめて仕上がりがよく、耐久性が高い塗装が実現できます。

下地処理は目で見えない部分の作業です。手を抜こうと思えば抜けてしまいます。
しかし、下地処理こそが塗装の質を左右する、もっとも大切な工程なのです。

外壁塗装を成功させるには業者選びが大切!

外壁塗装、特にデリケートな木材や木部の塗装に関しては難易度が高く、専門的な知識や技術が必要となるため、業者選びが非常に重要です。

外壁塗装はただ塗ればいいというものではありません。
先ほどもご説明しましたが、外壁塗装でもっとも重要なのは下地処理です。
「お客さまの目に見えない部分だから」といって手を抜いたり、汚れや損傷を見逃したり、それに気づいていたとしても適切な処理を怠っていたりすると、塗装をしても意味がありません。

外壁の材質や状態に合わせて適切な塗料を選び、丁寧に作業を行わないと、仕上がりが悪くなったりすぐに劣化してしまったりしてしまいます。

他にも足場を組まずにぶら下がりで作業をするなど安全をないがしろにする、外壁材を考慮せずとにかく高い塗料を進めて利益を取ろうとする、安い価格を広告で打ち出してお客さまを集めて「追加工事が発生した」と言って後から法外な料金を請求するといった悪質な業者も存在します。

外壁塗装の質は塗料の種類はもちろん、塗装業者の技術や仕事に向き合う姿勢によっても大きく左右されます。
木材や木部の塗装に熟知した、優良な専門業者を選んで依頼することが大切です。

業者を選ぶポイントはさまざまありますが、実績が豊富であること、有資格者が在籍していること、しっかりと現地調査を行って要望などをヒアリングしてくれること、見積もりで料金の内訳をしっかりと開示していることなどが挙げられます。
ぜひ、これらのことを意識して検討してみてください。

木部・木材外壁塗装は松岡塗装店におまかせください!

木部や木材外壁の塗装は非常に難易度が高く、塗装業者の技術や知識に大きく左右されます。
塗料一つにしても、一般的な外壁とは異なるものを使わなければなりません。
まずはしっかりとした業者を選ぶことが大切です。

大阪府をはじめ関西で木部・木材外壁の塗装なら松岡塗装店におまかせください。
一級塗装技能士が在籍していて丁寧で質が高い仕上がりをお約束。
無料の現地調査とヒアリングで、外壁材や木部の材質や状態、お客さまのご要望やご予算を確認し、適切な塗料をご提案します。
お見積りでは料金の内訳を細かく開示しているので、費用面でも安心。
足場をしっかりと組んで、下地処理から下塗り、中塗り・上塗りにいたるまで、すべての工程で安全かつ丁寧に作業を行います。
木部・木材外壁の塗装実績も豊富です。

天然木の美しさや素材感を長持ちさせるためにも、ぜひ定期的なメンテナンスを行いましょう。
外壁や木部でお困りのことがありましたら、私たちにお気軽にご相談ください。

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