外壁・屋根塗装で断熱塗料、遮熱塗料を使うと省エネ・節電ができる？（後編）

JAXA宇宙ロケットに採用された最先端技術

ガイナは日進産業が製造・販売している断熱塗料です。太陽の光を反射して室内が暑くなるのを防ぐ作用に加え、塗膜表面が即座に高温化することで入射方向に遠赤外線を大量に放射し、熱を高温度側に押し戻す作用があり、高い断熱性能を誇っています。その技術はJAXA（宇宙航空研究開発機構）でも採用されているほど。ガイナの断熱技術で、打ち上げ時や大気圏突入時の超高熱からロケットが守られています。

1㎡あたりの施工費用は3,500～4,500円。屋根塗装・外壁塗装の費用としては若干高めになりますが、宇宙ロケットにも応用された技術で、快適な室内空間をキープすることができます。

ガイナサーモ実験

＊画像はイメージです

製造元である日進産業が実施したガイナサーモ実験によると、未施工箇所では57～62℃になった炎天下でも、ガイナ施工面は35～40℃に抑えられたという実証結果が出ています。実に22℃も表面温度を抑えることができたのです。

前述のとおり、外壁や屋根に塗装すれば太陽からの強烈な熱エネルギーを効率的に反射して建物の内部への熱の侵入を防ぎます。また、建物の内装に塗装した場合、エアコンの冷気とガイナ塗装面との温度差が小さくなることで、涼しい空気が外に漏れるのを防ぎ、空調効果を高めることが可能です。

冬には断熱・保温効果も期待できる

熱い夏場にしっかりと断熱効果を発揮してくれるガイナですが、逆に冬場には高い保温効果が期待できます。ガイナを建物外部に塗装した場合、冬の厳しい冷気と塗装面の温度差が小さくなることで、室内に寒い空気が侵入するのを防ぐことが可能です。同時に暖かい空気が外に逃げにくくなります。

熱は気温が低いほうに移動する性質があるため、冬場は暖房をかけていても壁や天井から暖気が逃げていってしまいます。室内にガイナを塗装すれば、やはり塗装面と室内の空気の温度差が小さくなることで熱伝導率が低く抑えられるようになり、暖かい室内空間が維持可能です。

夏場と同じように、冬場も電気代や燃料代が高くなりがちですが、建物が断熱されていれば光熱費の節約につながります。また、身体の冷え予防やヒートショック（室内での温度差によって急激に血圧が変動したり心臓に負担がかかったりすることで起こる事故）のリスクの軽減も期待できます。

結露予防の効果

プラスαの効果も！

音は空気の振動です。ガイナの塗膜は特殊セラミックの中に空気を含んだ多層構造になっていて、音を減衰する効果があります。実証実験では80デシベル以上の騒音を65デシベルに抑えたという結果が出ています。騒音トラブルが起きがちな賃貸アパートにも使われています。

また、塗膜から発せられる遠赤外線が空気中に漂うホコリやチリ、花粉、ニオイ成分などをキャッチしてマイナスイオン化させるため、内装に塗装することできれいな空気と嫌なニオイが気にならない空間になります。特にトイレなどの内壁におすすめ。実際に公衆トイレの壁にも使われている実績があるそうです。

耐久性に優れ建物を長期間保護

キルコートはキルコート・ジャパンが製造・販売する断熱塗料です。一般的な遮熱塗料は酸化チタンが配合されていますが、キルコートはそれに加えて特殊なアクリルビーズを配合しています。塗膜の厚みはわずか0.4mmと非常に薄いながらも、ナノレベルのアクリル中空ビーズによってより高い遮熱・保温効果はもちろん、結露抑制や防音効果を実現しています。また、収縮性が非常に高く、クラック（外壁のヒビ割れ）にも強いのも特徴です。1㎡あたりの施工費用は3,500〜4,500円程度となります。

屋根塗装に適したスーパーシャネツサーモ

＊画像はイメージです

非常にネーミングがわかりやすい遮熱塗料です。スーパーシャネツサーモはアステックが製造・販売しています。特殊無機顔料を使用することで、強烈な太陽エネルギー、特に温度上昇の原因となる近赤外線をしっかりと反射し、熱を遮ります。カーボンブラックの塗料の日射反射率は6、マンガン系遮熱顔料は35に対して、スーパーシャネツサーモは46という非常に高い水準です。

その効果はサーモグラフィーと表面温度計を用いた実証実験でも明らか。未塗装部分は55.8℃まで上昇したのに対し、塗装部分は40.1℃で抑えられていて、その差は15.7℃です。また、実際に施工した現場で計測したところ、16.9℃もの遮熱効果があったことも確認されています。

耐候性が高いのもスーパーシャネツサーモの特徴です。一般的なシリコン塗料の耐久性は7～10年程度ですが、スーパーシャネツサーモSiという商品では13～16年、スーパーシャネツサーモFでは16～20年と大幅に長持ちし、建物を強烈な紫外線から守ってくれます。

また、一般的な塗料では年月が経つと紫外線によって顔料が劣化して変色や退色してしまいますが、スーパーシャネツサーモの特殊無機顔料は紫外線の影響を受けにくいため、色変化が起こりにくく、美しい外観が長持ちします。実証実験では20年経過しても光沢保持率が80％維持できるという結果が出ています。

スーパーシャネツサーモシリーズにはさまざまなラインナップがあり、ニーズや用途に合わせて選ぶことが可能です。

外壁に適したリファインシリーズ

リファインシリーズは外壁用の遮熱塗料です。その特徴は超低汚染性。水がなじみやすい親水性が高い塗膜を形成するので、排気ガスやほこりなどの汚れが付着しにくく、仮に汚れがついてしまったとしても雨水がそれを洗い流してくれるという、セルフクリーニング効果が得られます。

汚れが付着しにくいということは、遮熱性能にも大きく関わってきます。塗膜表面に排気ガスなどに含まれるカーボンブラック分散水で汚染した後に水で洗浄し、汚染前と洗浄後の日射反射率を測定したところ、他の塗料は大幅に低下しましたが、リファインシリーズは汚染前と変わらない、高い日射反射率を維持していました。

もちろん、耐候性も高く、超低汚染リファインSi-IRは耐用年数が15年～、超低汚染リファインMF-IRは20年～。一般的なシリコン塗料などと比較すると2～3倍長持ちします。

遮熱効果についても、サイディングに2時間照明を当て続けた実験によって、表面温度は9.2℃、裏面温度は8.6℃抑えられていることが実証されています。

シャネツロックはロックペイントが製造・販売をしている遮熱塗料です。高性能なシリコン樹脂を配合することで高い遮熱性と高耐久性を実現し、省エネと節電に貢献します。親水性が高く、汚れが雨水で落ちる低汚染性を発揮。防藻・防カビ剤が配合されているので、カビや藻類が発生せず、美しさも長持ちします。

窯業系サイディングボードを用いた遮熱効果実験では12.6℃の温度差があったことが確認されていて、実物大建物による遮熱効果実験においても遮熱効果が認められています。

1㎡あたりの塗装費用は2,000～3,000円ほど。耐久性は10～15年です。

サーモアイSiは日本ペイントが製造・販売している遮熱塗料です。シリコンを配合しており、耐久性が高く長い月日が経過してもしっかりと遮熱効果を発揮し、美しさがキープできます。カラーバリエーションも豊富で、クールホワイトの場合は91％の高い日射反射率を実現。グレー系でも60～80、ブラウン系でも30～50％程度の反射率となっています。

1㎡あたりの塗装費用は3,400～3,800円ほど。耐久性は15～20年です